第四話「全員集合新宿。-5」ゴールデン街21時過ぎ

新宿上空から

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タクオはビルを出るなりスグに携帯を取り出してモンちゃんへ電話をかける。

一回目のコールでスグにモンちゃんは出た。

「おお、モン。ありゃだめだ。お前の心配通り。親父さんもなんであんなのとつるむか知らねーが、ありゃだめだ。確かに。」

「でしょ。でしょ!どうすればいいかなタクオ〜・・・」

「どうにもならない。無理だよ。俺等には無理。とりあえず俺は報告したからね。親父さんだって死ぬ訳じゃないし、とにかく俺等には止められないから、俺はもう喉乾いたし、金曜日なんだし、とりあえず飲みにいくわ。止めんなよ。心配が止まらないのはわかるけど、今夜どうこう言ったってしょうがないからよ。またな。明日また話ししよう。」

「タクオ〜・・・。わかったよ。お前は薄情な奴ってこと忘れてたよ。」

「うるせえ!しょうがないだろ!とりあえず明日起きたら電話するから、それまでお前も営業頑張れ。じゃあな!あ、それと、週明けにあのオッサンと会うと思う。」

「え?え??あのオッサンって、親父の仕事の??」

「ああ、そうそう。まいいやその辺も明日話そう。今日はいいだろ。とにかく。」

「あ、ああ、あああー、分かったよ明日ね。絶対明日連絡くれよ。頼むからね・・・!」

「うん、わかってるよ、じゃあな。」

タクオは電話を切って、ゴールデン街へ向かって歩いていく。

歩きながら、名前をも一度確認するために貰った名刺を取り出す。

「宮内ね・・・」

とにかく今夜はどうしようもないのだ、それに自分達みたいに若い奴らがああだこうだ言ったところで、50過ぎの親父連中が聞く耳持つ訳がないのだから、

モンちゃんの心配は解消することができないとタクオは思っている。

だけど、モンちゃんの心配もわかる。

一方で、訳の分からない詐欺師だろうが、なんだろうが面白そうな話しをしているんだろうから、どんな話しなのかは気になる。

夢中で話し込んで目を輝かせるような50過ぎの親父達というのはそう見れるわけではない。

 

まあいい、ともかく今夜は飲むんだ。

 

ゴールデン街のカップル

ゴールデン街の一本目の道を通り過ぎようとした時に、道でカップルが言い争いをしているのが目に止まった、とイキナリ、カップルの女の方が男の胸ぐらを掴んで平手打をしている。あれあれあれーー。なんだゴールデン街いきなり面白い現場に遭遇だ。

女は何も言葉を発さずに、淡々と男の顔を二三度叩いた。

タクオは立ち止まって少し遠目にそれを見ている。

外国人観光客が「ワオ!」だとか言いながらカップルの脇を通り過ぎる。

良い観光が出来ててなによりだとタクオは思いながらも、ちょっと男が心配になるくらに女はもう一発強く叩く。

いい加減に抵抗したら良いものを男は抵抗しないでいる。

世の中色んなカップルがいるのだろうから、口を挟む訳にいかないが、タクオはちょっと完全に無抵抗の男に腹がたってきた。

すると女は男を解放して、全く男のことを無視して、一人でタクオのいる方へ歩いてきた。喧嘩は終わり一人帰るのだろうか。

よく見ると女は美人だ。おや、とタクオは思いながらじっと向かって歩いてくる女を見つめている。

女はタクオの視線に気づき、なんだお前はという目でタクオを睨みつけながら横を通り過ぎていく。出口の方ではない、女はゴールデン街の中の方へ向かって歩いていく、どこかへ飲みにいくらしい。

タクオは自分も行く方向だからと、女に叩かれていた男を横目に女の後ろをついていく形になった。

長い髪とスーツの後ろ姿は千鳥足ながらも堂々としている。

ああ、なんかいい女だなと思いつつも、叩く女は嫌だなと思って声はかけないでおこうと思った。

女が立ち止まった。

どうやら目当ての店を探しているも見つからないらしい。

タクオは無視して女の横を通り過ぎる。

「ちょっと。」

後ろで女が声をかけてきた。あ、やだな。むしむし。

「ちょっと!」

急に大声になった。ええ〜。と思いながら恐る恐る後ろを振り返る。

「なんでしょう・・・?」

「探してる店が見つからないの。店の名前も忘れたの。だからアナタの行くとこ連れてってくれない?」

「・・・。ああ、いいですけど静かな店ですよ?」

「なにい?失礼なこと言わないでくれる。」

タクオは睨まれてしまった。

「あ、いや、なんでもないです。」

「じゃあ連れてってよ。金はあるから。驕ってもらおうなんて気はないから。」

「あ、はあ、いや、勿論いいですよ。そりゃ。だけど僕は叩かれたら叩き返しますからね。」

タクオは努めて笑顔で軽く言ってみた。

「なにい?叩かれるような態度をアンタがしなければいいんじゃないの?」

「ああ、はい。そうでした。」

「前置きが長すぎると叩くかもしれないから、早く連れてってくれる?」

「わっかりましたー。」

タクオは内心面倒くさいなと思いつつも、美人と飲むのはそりゃ楽しいだろうと目当ての店へ向かって歩き出す。

女は横に駆けつけるように並んできた。

タクオは「あ、お名前は?」「ヨウコ」「ヨウコさん。タクオです。どうも。」

「どうも。って、言い方すかしてるねー。いくつ?」「23です。」「あらら、結構年下だわ」「え?ああそうですか。」「なに。年齢聞かないの?」「ああ、いくつですか?」「23歳。」「え?ああ、そうですか。」「・・・。」「あ、ここ2階です。空いてるかな。先入りますね」

 

続く

第四話「全員集合新宿。-6」ゴールデン街

 

『飲む、飲む、飲む!』は月、水、金曜日の11:30に更新予定です。

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ころまん阿部

ころまん阿部

職業:映画監督(作品なし)。小説家(当ブログ掲載)。脚本家(いっぱい)。。お酒の申し子。
経歴:中学校卒業後、電気工事士として働きだす。その後実兄二人の立ち上げた会社に参加、関連会社立ち上げで香港移住。父親他界の半年前に、父親の事業に叔父と共に参加。それら零細企業の経営を約10年。稼ぎは多いが飲み過ぎがたたり2016年末にアル中判定。全ての仕事から離れ今に至る。良く言えば楽隠居。迷いに迷う20代後半。
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