第四話「新宿集合。-1 山手線 19時過ぎ」テキーラの勢い

山手線上り方面車内

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タクオは電車に揺られている。通勤客と遊びに出る客とで電車内はごった返している。池袋駅で一気に人は降りたが、一気に人が乗ってくる。

イヤホンをして爆音でchromaticsのtick of the clock を聞く。酔っぱらって電車に乗ってどこか次の場所を目指す時にはこの曲を聞くと、銃を持ったリーアム・ニーソンに変身出来る。

つり革に捕まりながら車窓に映る自分の顔を見て、今夜はまだまだ飲めるなと思った。
だが、既に酒量は尋常じゃないペースだ。吐く息も多分アルコール臭い。
酔っぱらって電車に乗るのは楽しい。まさに人生を満喫しているような充実感を感じる。
酔客を嫌がる他の乗客をじっと見つめたり、爆音で音楽を聞いたり。
大体他の乗客に迷惑なことだが、ギリギリokでしょうとタクオは楽しんでいる。
たまに自分よりもマナーの悪い客がいれば、ぐっと睨みつけて正義を気取ったりするのも楽しい。
酔っぱらいの感情は一定じゃない。
高田馬場で前に、やたらとファンキーな女が乗ってきた。髪を真っ赤に染めて、ドレットにして。あ、ヨーロッパ人か。一人で大きいヘッドフォンをして首を降って音楽に乗っている。薬草酒の匂いがぷんぷんする。いいですねえ。仲間だ!。
ニヤついた顔で注目してると、女がヘッドフォンを外して「うん?」っていう顔で見てきた。とりあえず無言で二、三度頷く。女も何?って顔だけど頷いた。
タクオは英語が喋れないからコミュニケーションは表情だけだ。
言葉を交わす事なく、無言でお互いニヤニヤしながら、新宿でタクオが降りるまで頷き合った。ノリが良い。女は渋谷の方まで行くのだろうか。

降り際にとびきりの笑顔で互いに、手を挙げバイバイをした。
ああ人類皆兄弟である。なんのタメライもなくそう思える時があるから酒は面白い。逆もあるが・・・。

 

新宿で降りたタクオは冒険を終えた勇者状態で、東口の喫煙所で一服して一休みだ。

あ、タバコは「Peace」だ。そうか、俺って平和が好きなんだな。とか思いながらプカプカ吸っている。

でも、さっきの間違い電話がやっぱり気になりだしたから、歩きながら考えようと、靖国通りの方へ歩き出す。

さっきまでゴールデン街に行こうかと思っていたが、靖国通りに出た辺りで思い直して、歌舞伎町にある同い年の友達がやっている、ただ喋って、カラオケしたりする至極どうでもいいバーに行こうと決めた。行くのは久しぶりだ。あいつ元気かな。

 

歌舞伎町「Barワイワイ」

店は歌舞伎町の旧コマ劇までいかない、路地に入ったところにある小さい公園の前の雑居ビルの4階だ。
雑居ビル4階までいくと別にいい店という訳じゃない。大抵がどうしようもない連中しか集まってない。勝手なタクオの判断である。だが、友達がやってるからたまにくる。

エレベーターを降りると目の前にスグ店の扉があるが、中からは音が聞こえてこない。

あれ?と思いながら店の扉に開けてみる。
中はカラオケの機械からながれるBGMが小さく鳴っているだけだ。
むむむ。店の鍵は空いてるし、中へ入っていくとなるほど。友達がソファ席で爆睡していた。
これはもう面白いことしか思いつかないが、面倒だし可哀想なので、「おーい」と声を掛けながら近づいて、肩を揺すって「おーい起きろー、20時前だぞーー、店開けろー」と起こす。

友達は最初ぐずったがハッと飛び起きた。「え?え?え、なにタクオ?あれ今何時?」「20時15分前。」「あ、え?。なんだよ!起こすなよ」「起こすなよって言ったって、店鍵かかってないし、俺飲みたいんだけど。」「いやいや、タクオいつもいつもふざけんなって。なんで忘れちゃうの?うちの店22時からなんだけど!」「あ、」「あ、じゃねー!」「まあでも良いじゃん折角来たんだからさ、飲もうよ。」「・・・」「あ、いやなら良いよ、帰るは。じゃまたー。」「いや分かったちょっとまて!」「お、いいの?おしじゃあ、とりあえずテキーラで乾杯しよう起きちゃいましょうよ。」「・・・。あのね俺にとっては朝なの・・・。」「いいじゃあーーん。朝っぱらから飲めるなんて最高じゃんーー。俺なんかここんとこ全然飲んでなかったんだぞ。」「俺は仕事で飲むのよ・・・」「え。でも好きだからやってるんでしょ?」「・・・。ああ〜・・・うるさいねええーー、相変わらず、うるさいねえええええー。わかった。ライム出さないからね。」「そうこなくっちゃ、ありがとうねモンちゃん!」

タクオはカウンターにささっと腰掛ける。

友達=モンちゃんは中学の同級生だ。大して話をしたことはなく、足が速かったのと、猿の様な容姿でモンちゃんとあだ名されてたくらいしか記憶が無いが、とにかくいい奴なのだ、facebookで20歳を過ぎて再会した。とにかく楽しい事が大好きだ。お酒も勿論好きである。

「やっぱりライムあったほうがいいな」
と水を汲みゴクゴクと目覚めの水を飲み干したモンちゃんが言う。

「ありがとう。助かりマーす!」

テーキラ(クエルボ)を冷凍庫から出して、ショットグラスに注ぐ。
ライムを手渡しされた。
二人は先にライムを口に絞り、ショットグラスをぶつけて乾杯をし、一気に飲み干す。
「くうううーーっ。この24時間くらいテキーラしか飲んでないぞ俺(笑)」
「ばかだねええ。モンちゃん。おばかさんだねええ」
「うるせえ!ほら」
また注ぐ。今度はライムは無いが、また乾杯をして飲み干す。
「よし、もう一杯!かけつけ三杯だね。こりゃ!」
乾杯、飲み干す。勢いづいてきた。

モンちゃんがまた注ぎながら「よし後はゆっくりテキーラを味わいましょう。歌う?」「いや、いいやなんか面白い話しないの?」「面白い話しない?って最低の客だねあんた。まあ待て」「わかった」タクオは苦笑して、モンちゃんの話しを待っている。

 

第四話「新宿集合。-2 Bar ワイワイ 20時過ぎ」に続く

 

『飲む、飲む、飲む!』は月、水、金曜日の11:30に更新予定です。

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ころまん阿部

ころまん阿部

職業:映画監督(作品なし)。小説家(当ブログ掲載)。脚本家(いっぱい)。。お酒の申し子。
経歴:中学校卒業後、電気工事士として働きだす。その後実兄二人の立ち上げた会社に参加、関連会社立ち上げで香港移住。父親他界の半年前に、父親の事業に叔父と共に参加。それら零細企業の経営を約10年。稼ぎは多いが飲み過ぎがたたり2016年末にアル中判定。全ての仕事から離れ今に至る。良く言えば楽隠居。迷いに迷う20代後半。
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