『七人の侍』黒澤明監督/永遠に不滅なのは巨人じゃなくて、七人の侍なんだ。

  
公開日: 1954年4月26日 (日本) 207分
監督: 黒澤 明
挿入歌: 侍のテーマ
音楽: 早坂 文雄
製作費 2億1,000万円,配給収入 2億6,823万円
★★★★★(星5つ)

映画「七人の侍」がどれほどすごいか。

スピルバーグ、ジョージルーカス、マーティン・スコセッシ、タランティーノ etc….

長いキャリアを通じて最も評価の高い監督達が、こぞってこの七人の侍と黒澤明を手放しの賛辞を送っていて、更にお手本にしている。

去年公開された、マグニフィセント・セブンなんかは、七人の侍のリメイクのリメイクだ。

公式、非公式含め、今までリメイクされた本数は数えるのも面倒なくらいだ。

そしてリメイクだろうがなんだろうが、基本的に面白い。

そりゃそうだ、リメイクの元がすごいんだから。

優れた映画というのは、星の数ほどある映画の中でも一握りしかない。

そして、小説、舞台、ミュージカル、音楽、絵画、ありとあらゆる芸術を併せた”総合芸術”である映画の中でもこの「七人の侍」は頂点に君臨し続けている。

どれほどすごいのかなんてことは観れば分かるのだが、白黒映画だし、3時間超あるし、時代劇だし、60年以上前、すごく古いし・・・

未だ観られてない人にとっては、なんだかもう古典映画の類いの様に思われているかもしれない。

私ころまん。は声を大にして言いたい。

映画なんてものは、必ずしも映画館で観る必要なんてない。観るための媒体は関係ない。

スマホで観たって面白い作品は面白い。

だけどきっとそれで満足できないと思ったら、大画面で観ればいいだけの話しだ。

大画面で観たくなる映画ってなんだ?

とことん作り込まれた、妥協なき作品こそが大画面で観たくなる映画だ。

脚本、カメラワーク、演技、美術、音楽、編集。これら全ての細部を突き詰めて作る映画こそが、観て気持ちいい、何度でも、出来れば大画面で観たくなる映画だ。

良い映画というのは少ない。スケールの大きい映画ほど難しい。いや、スケールの小さな映画も難しい。だけどスケールの大きな映画は予算が当然デカい。この予算の大きさを無駄にしている映画が多すぎるので、やっぱり小さいスケールの映画の方が予算が少ない分、細部にこだわりをみせて作っていくので、良作は多いということになるな。

ああ、そう。

要するにこの黒澤明監督の「七人の侍」は大スケールなのに、小さいスケールの映画よりも、緻密で繊細に作り込んでいる。

だからこそ映画史に燦然と輝く不朽の名作なのだ。これがなければ、「スターウォーズ」が絶対に出来ていない。絶対にだ。

【白黒映画のとっつきにくさを解決】

白黒映画ってのは、郷愁にかられてとか、ある一時期はまるとか、ただのオタクとか出ない限り、現代人は中々普段観る気にならない。そうでない人は映画のおもしろさをあらゆる点で理解しているから観るのだろう。

「七人の侍」はすごいんだ。

白黒の中に完璧に色が見えてくるのだ。

他の白黒映画でもその現象はある。勿論ある。

だが「七人の侍」は特に色が見えてくる。この理由をひも解くのは非常に困難だが、ころまん的に分析させてもらう。

先ず全てのシーンが、一枚の絵として成立している。どこのシーンで一時停止したとしても、完成された一枚の絵なのだ。だからこそずっと動画で観ていたい。この絵の次も、更に、そしてずっと素晴らしい絵なのだ。必然的に素晴らしい動画といえる。一時停止でずっと楽しめるとしたら相当な変態で、そして相当な我慢力がある人だろう。

天候の移り変わり、太陽の日差し、雲の動き、木々の美しさ、川、田畑

ありとあらゆる自然物の状況を白黒で完璧に観るもの、コチラ側に伝えてくるのだ。

「七人の侍」に限らず黒澤明監督は自然、天候を映し出す事にはとことんこだわっている。これは黒澤明自身が若い頃に二科展に入選し、当然画家で飯食う事を目指したという点から、自然に対しての捉え方が絵師的で、他の監督とちょっと違うだろう。

そして自然だけでなく、人工物の写し方も半端じゃない。そもそも当時でも中々ない、全てをオープンセットを建て込んでいるのだ。オープンセットだけで幾らかかったんだ・・・制作費1950年代で2億を超えている・・・とんでもねえ・・・

後に「天国と地獄」という映画を撮った際には、人が住んでいる家を立ち退き撤去させたくらいだ。黒澤明のセットの作り込みというのは度が過ぎるくらいやり込んでいる。

そう、自然物も、人工物も当然色がある。

自然物なら例えば、雨粒のサイズで色が大体見えてくる。

人工物なら例えば、細部まで作り込まれた家、風車小屋、屋内の雑多なインテリア、それら全てが丹精込めて作り込んでいるため、色が見えてくる。

茣蓙、土間の土、家の朽ちた木、木目、補修されていない屋根瓦、藁葺き屋根。

色。見えてくる。

これらを全て、当時最も優れたカメラで撮っている。(カメラの画質は当時と今でそこまで変わっていない。変わっているのは便利さとサイズだろう)

色。見えてくる。見えるんだ!

【3時間40分の長さは見続けられるのか?】

はっきり言おう。

余裕。

余裕!余裕!余裕!

最近の2時間ものを観るよりも短く感じるかもしれない。

何で観るかによるが、DVDなら大体は全編・後編に別れている。ちょっと一息付いたら、スグに後編を観たくなる。

話しはズレるが、仲代達矢主演の「人間の条件」は全六部で9時間31分だ(笑)

だけど大ヒットを飛ばしている。

園子温監督作品「愛のむきだし」は4時間だ!作品自体良いが、もし、西島隆弘満島ひかりが出てるから観るんだ。という人がいるなら、「七人の侍」は三船敏郎を始め志村喬、左卜全と他にもオールスターじゃ!!!(笑)

デスノートは前編・後編で4時間あるよ?

この「七人の侍」海外盤では始め160分に短縮したらしいが、既に同じ映画ではない・・・

スピルバーグ監督は後年になって、オリジナル版を観たとき「全く別の映画のようだ!」と言ったらしい。

結論、3時間40分は、余裕である。

【時代劇で60年以上前の作品という意味】

1950年代当時は、当然時代劇全盛だった。

だけど、きちんと時代考証をして撮っている時代劇は皆無だった。長谷川一夫 、阪東妻三郎達、時代劇スターがチャンバラごっこをして、それを映画にしているのが、当時の時代劇だった。殆どが歌舞伎から影響を受けていて、メイキャップも、衣装も、殺陣も、話し口調も何からなにまで、「リアル」ではなかった。

勿論黒澤明監督だって、戦国時代を直接みてきた訳じゃないから本当の「リアル」というものはあり得ない。

だけども、おそらく現代に至るまでココまで戦国時代、時代劇物で「リアル」に撮りきったのは「七人の侍」が一番だろう。

更に言えば、今と60年前では戦国時代の時代考証も全く同じという訳ではない。

「七人の侍」は1950年代当時で可能な時代考証に基づく作品なのだ。

だが、結果この作品は今の歴史家や、学者が観ても唸る「リアル」さを出し切っている。

例えば、侍の髪型であるチョンマゲだがどのキャストもあまりボリュームがない。

また、刀は真剣、または真剣と同じ重さのものを帯刀させることで、腰の重心がぐっと落ちた歩き方、走り方になっている。

そして、農民の衣装。これは黒澤明が昔の農民はそんなに毎日取り替えるほどの服を持っていないだろうという考えから、農民役の役者には撮影時以外でも衣装を着させて生活をさせるといった徹底ぶりだ。

そういえば真剣というのは、人を何人まで斬れるかご存知だろうか?

多くて4、5人らしい。 血と脂がこびりついてしまい、切れ味が無くなってしまうらしい。そして、日本刀が細身なため、西洋の刀のように斬れなくてもおかまい無し、力で打撃を与えるという事ができず、折れてしまうらしい。

なので、ラストの方の戦闘シーンでは、三船敏郎演じる菊千代が、戦闘前の準備として、抜き身の刀を10本以上取り出して、地面に挿して用意をしておくシーンがある。

こういった本当にその場にいたらどうする?という疑問をしっかり映像に、画面に映し出して、登場人物が全て知性を持って行動している映像になるのだ。

これには唸らされる。

また、野武士の拠点である砦の様な、山小屋の様な巨大な建物をセットで組み、そして屋内での撮影シーンをばっちり抑えた後に、一発勝負で建物に火を放ち燃してしまう。役者が近づけないほどの火の勢いで、筋書き的には火の中に飛び込むはずが、あまりの熱風に煽られて入り込めない。なんていう大迫力のシーンもすごい。

そして、基本的に黒澤明の映画では、弓矢を本当に放っている。人に向けて。これが圧巻だし、雨の中で射る弓の迫力というのもすごい。

これらを今は実現出来る事はないだろう。60年前の映画全盛の時代だからこそ出来た映画だ。

今ならばCGも相当にリアルで見応えがあるが、全て本物を志向して映画を撮るという迫力は、CGには出来ない。CGはどうしても完璧になってしまう。

だが「七人の侍」は自然に出る粗さをも完璧なリアルさの一端をになっている。

だからこそ、この素晴らしい”総合芸術”の極みである「七人の侍」は一度は勿論、何度でも観て頂きたいのだ。

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ころまん阿部

ころまん阿部

職業:映画監督(作品なし)。小説家(当ブログ掲載)。脚本家(いっぱい)。。お酒の申し子。
経歴:中学校卒業後、電気工事士として働きだす。その後実兄二人の立ち上げた会社に参加、関連会社立ち上げで香港移住。父親他界の半年前に、父親の事業に叔父と共に参加。それら零細企業の経営を約10年。稼ぎは多いが飲み過ぎがたたり2016年末にアル中判定。全ての仕事から離れ今に至る。良く言えば楽隠居。迷いに迷う20代後半。
月、水、金(11:30更新)

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